PMBOK(R)ガイド英語版を併用する理由


野村です。第六版によるPMP®試験に対する試験対策も数回実施し、PMBOK®ガイド(ぴんぼっくがいど)の細かいところのチェックも大分進んできました。

ガイドを使う上での注意

現在、多くの人が、ガイド第六版を利用し、試験に備えていると思います。PMP®試験の準備は、ガイドを利用するのが有益だから、です。しかし、日本語版だけ読むのはリスクがあると思います。

そもそも、PMP®試験では、ガイドの用語がそのまま出題されるわけではない、ということです。難易度を上げるために、元々の英語の問題から、言い換えが行われている事があります。そのため、ガイドの細かな用語については、「意味を理解しておく」ことが大切です。例えば、ステークホルダーマネジメント計画書とステークホルダーエンゲージメント計画書はほぼ同じ物ですが、それらがどういうものなのか、という理解のほうが用語の違いよりも遙かに大切です。ガイドの綺麗なインプット、アウトプット、プロセス名など、出題されない、と、考えていてもいいくらいです(これは極端、あるいは言い過ぎかもしれませんね。しかし、ガイドを暗記しているかどうか?という試験ではないです。本質の理解が重要です)。

次に、試験もガイドも、翻訳はとても苦労しているだろうけど、荒さが残っている、ということが上げられます。例えば、ガイドの「人間関係のスキル」という言葉、英語ではInterpersonal Skillsです。対人スキル、人間的なスキルとすべきですが、「人間関係」「の」「スキル」、になってしまっています。人と人との間にあるものに対するスキル、では、Interpersonalとは意味が違ってきてしまいます(流石にこれはそろそろ修正してほしい・・・)。他の例としては、「要求事項」があります。これは他の言葉もそうですが、英語版では「事項」という言葉は使われていません。要求と要求事項、他の例では、制約と制約条件では、意味が違ってきてしまいます。こうした違いも、小さな誤解に繋がっていきます。学習において足枷になってしまいます。

さらにガイドに限ってみれば、用語集や、索引が、非常に雑です(これは翻訳の問題だけでなく、編集方針や編集者に問題があるとも言えます)。索引で調べても、本文には無い・・・けど、英語版で細かく確認したら、本文の翻訳が違っていた、ということがあります。また、用語集では、ある特定の単語は、4版あたりから、翻訳されない酷い状態が続いています(かなり致命的で、誤解する可能性もあるレベル)。弊社の試験対策などでは、20くらいの誤訳について、いちいち説明していますが、ここでこれらを具体的に挙げていくことは、翻訳という大変で尊敬すべき活動を批判しているようにもとられないので、ここでは割愛すべきでしょう。講義では、凄く翻訳で苦労しただろうポイントについても説明しています

英語版を併用しよう

そもそも、英語で作られているものなので、可能であれば、英語で読むようにしてください。参考書や問題集も、本来は、Ritaなど、英語で取り組んだ方が良いでしょう。しかし、多くの人は、「英語なんて読みたく無い」でしょうし、場合によっては嫌悪感すら感じている人もいるでしょう(私も英語は大嫌いです)。多くの人は、最初から英語で読む必要はありません。日本語で学習して、必要に応じて、英語を参照する程度で良いと思います。

しかし、実際の試験では、ラフに作られている英語の問題が、さらに翻訳というフィルターを通した日本語の問題として、目の前に登場します。このような状況だと、少しでも違和感を感じたら、英語の問題を読むことになります。例えば「固定成果物」という言葉が出てきたら・・・。これ、日本語のイメージだと、なんとなく、装置が土台に据え付けられたように読み取れます。しかし、英語を読めば、「固定」ではない、ということがわかるのです。固定は完全に誤訳で、英語は違う意図で使われている言葉だったのです。

その時のために、ある程度英語で慣れておくべきなのです。弊社の試験対策のテキストでも、かなり、英語版を引用しています。単に、慣れる為です。

そして、ガイドの翻訳も微妙なことがあるので、やはり、英語版を読むべきです。しかし、紙で買う必要があるか・・・というと、それは不要でしょう。PMI会員であれば、各国語版のガイドのPDFをダウンロードできます。英語と日本語版をダウンロードして、日本語に違和感を感じるところだけ、英語で確認すれば良いでしょう。是非PMI会員になっていただき、各種PDFをダウンロードしてみてください。ガイド以外にも、アジャイルや、特定業界向けガイド拡張版、WBS,RISK,EVMなどの実践標準などのPDFもあります。オトクです。日々の学習にガイドのPDFを是非役立てて下さい(第六版のPDFは、とても制約が厳しく、また、度々更新されています。上手な使い方は、コースの中で説明しています)。

ガイドの翻訳の問題については、PMI本部にガイド品質向上のための意見として挙げれば良いのです(英語についてもかなりツッコミたいところはある)。かつて6版について意見を出したら、ガイドの後ろのほうに、私の名前も掲載されちゃいました。意見すれば誰でも掲載されると思います。

ところで、PMBOK®Guideを、弊社ではガイドと呼びます。アルファベット5文字で「ぴんぼっく」という言葉をWEB上などで単独で使用することは、弊社とPMIとの契約上、できません。ご了承下さい。